Goto社会保険労務士事務所  
2015/03/03

外部連携APIについて

外部連携API は、
e-Govを使用することなく、電子申請ができます。
外部連携API は、対応した市販ソフトの使用が前提となりますので、
この外部連携APIの機能は、社労士支援ソフトがいち早く対応しましたが、
今後は、給与ソフト等にも導入されると思います。
さらに、外部連携API に対応した社労士支援ソフトが、一般企業に販売されています。

オンライン申請
 
既存の電子申請は・・
 単票形式
 一括申請  
   に大別されます。

申請フロー
出典:電子政府の総合窓口(e-Gov)における外部連携APIの整備に関する計画
  • 現状の処理フロー
     
    • 単票形式(e-Govオリジナル 別にCSV方式もあります)とは・・・
      • e-GovのWebページ上に準備されている申請書の入力画面から、各種情報を直接入力して電子申請する方式です。
      • <メリット>
        電子申請本来の共通の事前準備(電子証明書、事業主の提出代行に関する証明書など)は必要ですが、インターネットに接続しているパソコンがあれば、即、使用することができます。導入費用は電子証明書の取得のみです。
      • <デメリット>
        操作自体は難しくはありませんが、非常に煩雑です。マウスを使ってたくさんのボタンを押下する必要があります。
        原則、1件ごとの申請になります。同時に複数の届を電子申請することができません。

        なお、CSV方式であれば、同時に複数の届を同時に行うことが可能ですが、「預かり票」というややこしい操作を行う必要があります。
         
    • 一括申請とは・・・平成30年度末以降は、新規に使用できなくなります
      • 一括申請に対応している社労士支援ソフト(クリックス社の@ろうむ、セルズ社の台帳、MKシステム社の社労夢etc)を導入する必要があります。
        社労士支援ソフトを使って、e-Govから公開されている仕様に基づき、電子申請用データ(ZIPファイル)を作成した上で、e-GovのWebページ上に準備されている専用の申請ページから電子申請を行う方式です。
      • <メリット>
        対応ソフトにて、従業員の一連の登録・修正作業の中で、e-Gov向けの電子申請用のデータ(ZIPファイル)が自動的に作成されるので、単票形式の操作の煩雑さから解放されます。同時に、複数の届、異なった届の電子申請が可能です。
      • <デメリット>
        対応ソフトを別途準備(購入代金と保守費用(毎月の使用料))が必要となります。毎月の使用料として2万円程度かかりますので、負担はそれなりに有ります。
        また、当該ソフトの操作方法を別途修得する必要があります。
          
    • オンライン申請の共通作業(問題)・・・
      • 単票形式、一括申請は、申請時の操作方法です。
        日本年金機構やハローワーク等で処理された結果は、電子公文書としてe-Govの専用Webページを介して配布(利用者がダウンロードしなければなりません)されます。
      • マイナンバーは、e-Govであれば、画面に直接手入力する必要があります。また、操作途中にて作業内容を任意な場所に保存することになりますが、その保存されたファイルの中には、手入力したマイナンバーが暗号化されずに保存されています。つまり、その保存したファイルは、特定個人情報となってしまいます。
        一括申請では、電子申請用データ(ZIPファイル)を作成する開発会社によっては、保存した作業途中の内容の中のマイナンバーを暗号化(単に●に変換)している場合もありますが、詳細は、各自で確認をお勧めします。
平成27年4月から、
「外部連携API」 が導入されました。
  • APIによる処理フロー
     
    • 外部連携API といわれています。
    • <メリット>
      • 社労士支援・給与ソフトなどの画面に、電子申請を行う機能を持たせることが可能になります。
      • 一括申請用のファイル(ZIPファイル)を作るところまでは、現状の「一括申請」と同じですが、作成したZIPファイルを対応ソフトから直接にe-Govへ申請することができます。
        対応ソフト等の内部で電子申請の一連の作業が完結されます。
        つまり、e-GovのWebページを全く使用する必要がありません。
      • 申請後の結果についても、支援ソフトから直接電子公文書を取得することができます。
      • 申請・届出、電子公文書の取得以外にも、社労士支援ソフトから下記の機能が直接に行うことが可能です。
        1. 処理状況照会
        2. 取下げ
        3. 補正通知取得
        4. 補正(再提出)
            
    • <デメリット>
 
  • 社労士にとっての 外部連携API のデメリット・・・
     
    • 「一括申請」に対応したのは、社労士支援ソフトだけでした。つまり、「一括申請」は厚生労働省向けの各種手続きの代行を行っている社労士の電子申請操作を容易にするための代物でした。

      しかし・・・
      外部連携APIは、厚生労働省や電子申請の推進を担っている総務省の「電子申請利用率をアップさせる」という大きな目的のために導入されました。

      以前に開催された「外部連携APIの説明会」には、社労士支援ソフトの開発会社だけでなく、給与ソフトの開発会社(弥生給与、PCA給与、給与奉行、TKC等)が参加していたそうです。
      「一括申請」とは違って、「外部連携API」の機能が給与ソフトに導入される可能性が高いと思われます。
  • 給与計算を専用の給与ソフトで行っている事業所に、どんどん電子申請をしてもらおう!!という意図ではと感じています。
          
    • 確かに・・・
      全てではありませんが、現状の給与ソフトであっても、雇用保険、社会保険の取得時に必要な従業員の情報は大半入力する必要があります。基礎年金番号も登録できるものもあります。
          
      また、給与処理の性格上、
      • 賃金情報は完璧に管理されています。
      • 扶養家族情報は、所得税の関係で必須です。
      • 月額変更の情報も入手できます。紙の届を印刷する機能があります。
      • 算定基礎の情報も入手できます。紙の届を印刷する機能があります。
      • 労働保険の年度更新の資料も印刷できます。
            
        つまり、若干の情報(e-Govの基本情報、その他手続きに必要な項目)を追加するだけで、電子申請を行うことができるわけです。
           
    • 残された問題点としては、事業主の電子証明書を取得してもらう必要があるだけだと思います。
      ただし、給与ソフトのデータ管理(セキュリティ管理)がより重要になると思いますが。
対応を考える必要があるのでは?

ここからは、完全に個人的な感想ですが、、、

社労士にとっては、、、

現時点で給与処理を請け負っている事業所については、この外部連携API機能は、何ら問題はないと思います。逆に、給与ソフトを使って給与処理をされていると思いますので、社労士支援ソフトがなくとも電子申請が行えることになりますので、大きなメリットがあると思います。

しかしながら、現時点で、給与処理を請け負っておらず、手続きのみを請け負っている場合には、注意が必要になるのではと私は思いまが、皆さんはどうお考えですか?

手続の提出代行の中には、単純なものもあります。
電子申請、それも「外部連携API」が導入されますと、e-GovのWebページを経由する必要がなくなりますので、今までのような「JAVAのアップデート」「インターネットエクスプローラー(IE)のバージョン問題」の煩わしさから解放されます。

その「外部連携API」が事業主が現在使用している給与ソフトに移植されたとすれば、新たに、社労士支援ソフトのようなソフトウェアを購入することなく、電子申請を行うことが可能になります。
そうすると、給与処理として「取得」「喪失」「月額変更」「算定基礎」「年度更新」etcの手続きができてしまうことになります。

事業者(国民)にとっては、利便性が高まります。されど、我々社労士にとっては・・・

ただ、社会保険・労働保険の届の電子化は、国民の利便性、申請処理の効率化のためには必要なものですので、今回の「外部連携API」は意義のあるものだと思います。

あとは、我々社労士が、「外部連携API」導入後の環境に、いかに対応していくかだと思います。

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