Goto社会保険労務士事務所  
                                                                 2017/7/15

給与ソフト と 外部連携API

外部連携API は、
総務省が社会保険関係の電子申請の利用率をアップさせるための秘策だと思います。
外部連携API を、給与ソフトに組み込むように給与ソフトの販売会社(開発会社)へ働きかけているようです。

2018/05/08
給与ソフトの給与奉行では
給与奉行の電子申請
上記のよく使う届の電子申請が可能です。他の手続きは、e-Govで行うという運用方法も検討価値があると思います。

給与ソフトへの導入

社労士にとって注意しなければならないのは・・・・・
外部連携API はセルズ社の台帳、MKシステムの社労夢などの社労士支援ソフト向けに限定されたものではありません。

国(総務省)の目的

社会保険の電子申請が本格的に始まったのは、平成15年でした。

もう14年以上も前になります。残念ながら、我々社労士の電子申請への取り組みは、国(総務省)の期待を満足させるものではなかったようです。

電子申請の申請方法(プログラム)は幾度か改定され、現在のe-Govの形になりました。

事業主の電子証明書の省略、被保険者の委任状、確認書などによる被保険者の電子証明書の省略が可能になっています。更に、一括申請方式もリリースされています。
まだまだ使いにくいところはありますが、手続の専門家である社労士としては、「対応できないレベル」ではないところまでは改善されていると思います。

残念ながら、社会保険(労働保険も含む)の電子申請の活用率はなかなか向上しませんでした。

どうしても社会保険関係の電子申請の利用率を引き上げたい国(総務省)は、給与ソフトに「目」を付けたのではと思います。
労働者を雇入れていれば、必ず給与処理は行っています。少人数であれば別ですが、10人以上になれば必ず給与ソフト(弥生給与、PCA給与、給与奉行etc)を導入しているはずです。もちろん、給与処理自体を社労士事務所や税理士事務所にアウトソーシングしている場合もありますが。

自社で給与ソフトを使った給与処理を行っている事業所対して、外部連携API対応の給与ソフトを使い、雇用保険の取得・喪失届、社会保険の取得・喪失届、社会保険の異動届、社会保険の月額変更、算定基礎、賞与支払い届などの届け出件数の多いものを電子申請で行ってもらおうと考えているのではと思います。

給与ソフトの対応は

現状でも給与ソフトへは、各手続に必要な従業員の情報はもともと入力する必要があります。また、従業員の支給された賃金に関する情報はもちろん完璧に保存されています。
このため、外部連携APIへのシステム的な対応(修正作業)は必要ですが、そのシステム修正は大きなものではないと思われます。給与ソフトの販売会社も、電子申請の外部連携APIに対応が必須になると思います。

ただし、法人の電子証明書を取得する必要があります。
しかし、法人の代表者の個人の電子証明書、代理人の個人の電子証明書を使っての電子申請も可能です。e-Taxを導入済みの法人であれば、法人の電子証明書は取得済みと思います。

社労士は如何に対応すべきか

現時点で、顧問契約に給与計算まで含まれている場合には、外部連携APIの悪影響はないと思います。

一方、顧問契約に給与計算が含まれていなく、手続きを社労士が行っている場合には、外部連携APIが顧問先が使用している給与ソフトに導入されたならば、社労士への手続きの依頼はなくなる可能性はあるのではと思います。

手続のために社労士に資料を送る手間を考えれば、外部連携APIに対応した給与ソフトから、給与処理のついでに電子申請を行った方が手間はかからないでしょう。さらに、社労士への報酬もカットできることになります。社労士への顧問料の減額による事業主の経費削減が、事業主の大きなメリットとなります。さらに、個人番号を社労士に渡す必要がなくなりますので、「個人番号の漏洩」という危険を回避することができます。

全体としては、外部連携APIは、社労士にとって、「メリットあり」というよりも、「メリットなし」または「デメリットあり」になるのではと思います。
しかしながら、「電子申請の利用率をアップするため」には非常に有益な仕掛けと言えると思います。

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